すすき野原の物語(灰色の影と風)/板谷みきょう
なもの」を投影し始めました。
「あれは、村を出ていった者たちの恨みが形になったもんだ。」
「いや、与一が持ち帰った異国の呪いだ。」
しかし、影の本当の姿を知っていたのは、夜の闇に紛れて野原を駆ける狐だけでした。
狐が見たのは、影がすすきの根元を一本一本指で辿り、何かを「数えている」姿でした。
影が数えていたのは、村人たちが日々の暮らしの中で、
ポロポロとこぼし、捨て去っていった「欠片」たちでした。
転んで痛かったのに、泣かずに飲み込んだ小さな「涙」。
本当は大好きだったのに、意地を張って言えなかった「ありがとう。」
そして、大人になるにつれて、隠した「寂しさ」
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