うすくなる/山人
 
 存在が薄くなっている、最近そんなふうに感じる。加齢とともになにもかもの熱量が少しづつ失われ、まるで一本の枯れ木の棒になっている雰囲気だ。枯れ木の棒だから水分もあんまりなくて、あらゆる部位がカサカサしてきているし、頭の中の鳥たちは一向に羽ばたこうとしない。

 あらためて思うが、かつて自分には過去があったのだなと思う。あまりにもひどすぎる過去だから、糜爛した腐敗物のような出来事をあらためて語る気力すら失っている。

 このあいだ、魔が差して料理に使う一滴の白ワインを一口飲んだ。その背徳感は実に甘美なものであり、ここからいくらでも地獄に落ちることなどできると思った。そうはいっても今だって地獄
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