うすくなる/山人
 
地獄とは言えなくはない。かろうじていつでもどうぞって地の底から手招きだってされてるんだから。

 髪の毛が薄くなるということはつまり、自分自身も比例して薄くなるってことなんだと最近思うようになった。薄くなりたくないと必死にみんな生きようとしている。それが酷く哀れに思え、気の毒に感じる。そして若者たちは自分らは老いないとでも思っているのだ。

 薄くなって、もう透明になりかけているのに、父はまだ魂があふれている。自分はもう父には勝てないし、父の年まで生きられないだろう。願わくばそうあってほしい。少し年の離れた兄です、そういったらもしかしたら信じる人がいるかもしれない。

 どのくらい生きたら死ねるのだろうか。死ぬまで生きたら死ぬのだろうか。でも自分はまだそれができない。たぶん、あっ、あれ?死んでる!って思うまで生きているんだろうと思う。
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