表現の動機について/由比良 倖
まいました。深い孤独の表現ではなく、ラブレターの文例集のような味気ないものとなりました。もちろん恋愛にも失敗しました。もうこの道は、やはり選びません。
もう少し深い理由としては「僕の深い孤独感を、誰かひとりにでもいいから理解して欲しい」あるいは「誰かひとりでもいいから、誰かを救いたい、僕が中也の詩や、ニック・ドレイクの音楽に救われたように」という気持ちがあるからです。このとき僕は、不特定多数の他者の中に、特定の個人を見いだしたいという欲求があります。その個人を、僕が知らなくても一向に構いませんが、もしその人を直接知ることが出来たなら、あるいは心からのお礼を言われたなら、僕はもう死んでもいい
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