ネガティブ・ケイパビリティについて/由比良 倖
とは全然真逆で、自分以外のものの総体が自分そのものなのだという考えは、自我をきちんと確立することに繋がると思う。自分に何も付け足さなくても、自己規定しなくても、自己主張しなくても、たとえ自分を捨てたとしても、自分が自分であることに変わりはない。
自分を捨てたあとで、それでも残る自分が本当の自分なのだと思う。自分の好みとか楽しさとかまで無理して消さなくていいし、個性は、いくら消そうとしたところで、消えたりしない。自分は偏ったものだし、全然理想的な存在ではないし、良くも悪くも常識に嵌まらず、異質で、それでいいのだと思う。(ごくごく自然にとても悪いことをする人もいるかもしれないし、というか僕自身が性
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