ネガティブ・ケイパビリティについて/由比良 倖
ことだと思う。その感覚から自然に出てくる行為がたまたま他人の役にも立つかもしれないし、別に何の役にも立たないかもしれない。本当は多分、そういう生き方が理想的なんじゃないかと、僕は思う。
理想的、っていうのは、つまり、みんながみんな「人のために、人のために」と息巻いてる世界が平和的で満足できる場所だとは思えないし、僕は人間の一番の毒は「自分」という概念だと思っているので、その毒が少しでも減った方が、たとえ表面的な変化は緩慢であったとしても、少しずつ世界は今よりずっと住みやすい場所になっていくと思ってる。
自分を度外視して自我から離れることと、「自分なんてどうでもいい」と自分を蔑ろにすることは
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