林檎、あるいは生贄の友達/牛坂夏輝
る音響
それは何も語ることのない瞼である
水と沈黙の交尾する階段を
きみが下りるたび
ぼくの反抗的な過干渉は
青いポプラの並木や
山脈の死を露呈し
林檎の両目は
幼少期の顔と
荒廃したガラスの原野のあいだで揺れる
大きくなっていく不滅
それは揺れ動き
待ち伏せされた知性の雨の朝のように
感傷的な口づけを許さない
断面は藁でできている
それは不穏な噴水を馬たちに与える
聞きなさい
腐敗した間奏曲と
広がっていく崇高な梟の腹部は
誰よりも静謐さを信じ
その静けさは
ぼくらの錆びついた計略の
唯一の信頼された照明器具である
馬たち
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