渡り損ね  蒼風薫/梅昆布茶2
 

息だけしていた


ねえ  聞いているの

隣の気配に詰問調で尋ねる


・・・いや


立ち去ってください  愛に飢えたら食べなさい

儚い夢を鞄に詰め込んで


いっぱい  いっぱい詰め込んで

海から旅立ってきた私たち

帰るまでの刹那の時を

幸せ探しに使うため

愛に飢えたら食べなさい

神様が持たせてくれた鞄の中身は
どんどん減っていく

カバンが重たいまま還る人

空の鞄で帰る人


いろいろだけど・・・・

愛に飢えたら食べなさい

儚い夢はもともと儚い

だから

朝日の中の幸せな目覚めも

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