うろこ/みぎめ ひだりめ
 
乾いていて冷たいそれを
おれは か細いからだに縫っている
目や耳や口すら覆っている
輝いたことなど一つもないが
揺れ動かず しんとしていて
煮詰めて固めたざらめのよう
黒々してて 鈍重で
おれを煮詰めて固めたよう

釣瓶が落ちるような雨が降っている
細長い尻尾のような粒たちが
ざあーっ と遠くまで落ちている
おれは乾いて冷たいそれを
つまらなそうに見つめている
なだらかな曲線が光を散らしている
夜が西日を追いかける

それは小さな山だった
ざらざらと軽い石が積み上がっている
灰色風が吹いている
誰かが誰かを悼んだ場所は寂しさが満ちていて
だから祈りはあるん
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