夜でなく、夢でもない。/中田満帆
 
いものを書き綴ってきた。あらゆる新人賞とは無縁だったし、結社や同人にも無関心だった。ひとと和合することがなりよりも苦手だった。
 もうじき夜が来る。早いことことを済ませようとおもった。しかし、まだこの世界に未練があり、そしてじぶんの創りあげたものが愛おしかった。決してだれにも好まれない被造物の塊りのなかで、ただひたすらに言葉だけが踊っている。わたしにはなんら使命はない。ただじぶんを肯定できない憂さを晴らそうと、虚勢を張ってものを書くだけだ。電話が鳴る。わたしはでない。目的を喪った躰が拒絶するからだ。
 とうとう罠に嵌まったらしい。くだらない感傷の染みついた指で、またもキーを叩いている。これじゃ
[次のページ]
戻る   Point(2)