夜でなく、夢でもない。/中田満帆
じゃあ、切りがない。いままでの交流に終止符を打つべく、手紙をしたためる。1通、2通、3通、やがて26通もの手紙を書いた。虚しいばかりだった。しょせんひとはみずからが創りだしたもののなかでしか生きられない。呼び鈴が啼いた。扉をひらくと警官がふたり立っていた。
区役所からの通報で来ました。
あなたですか、自殺すると電話したのは。
そんな電話はまだしていないし、まるで憶えがないことだ。
いいえ、そんな電話してませんよ。
嘘はよくないですよ、楢崎さん。
こちらではもう確認がとれてるんでね。
いったい、どこに確認を?
そ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)