element/こしごえ
を持っている」
「ええ」
静かにうなずく。
老人は、あらかじめ集めておいた枯れ木を火にくべながら言う。
「そして何者にも囚われない。滅ぼす事が出来るのは、自分自身の心のみだ」
「・・・・・・自由ですね」と女がこたえると、老人は、女の方を振り向き人なつっこいふうにニッと笑った。
すこし不気味ではあるが憎めない笑顔。
それを見て、女も「ふふっ」と微笑む。
それで、「横に座ってもいいですか?」と、言いながら立った。老人は、笑顔を消して黙ったままうなずいた。
座りなおした女は、老人へ先ほどからの疑問を「火が好きなんですね」と静かにたずねた。
老人は、また、火へと目をもどしうなずく。
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