裁判員日誌2-1/TwoRivers
 
聞こえる被告人の手錠を外す「カチャカチャ」という音が、
その緊張をさらに高めていました。
法廷内の誰もが笑顔を見せることはなく、
検察、弁護人、裁判官が粛々と手続きを進める様子は、まさに儀式のようでした。

被告人は30歳。軽度知的障害を抱えてはいるものの、
ごく普通の一般人に見え、また小柄なこともあり、
正直に言って強盗致傷事件を起こすような迫力は感じられませんでした。
ただ、被告人は4年前には専有物離脱横領、窃盗の罪で執行猶予中となっており、
犯罪を繰り返しているということから、どこか内面に潜む怖さは感じました。

検察の冒頭陳述の後、弁護側から反論の陳述がありました。
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