裁判員日誌2-1/TwoRivers
 

その際、私たち裁判員に語りかけるように発せられた弁護人の言葉が、今でも強く印象に残っています。
「皆さんはこのような事件は起こしません。皆さんは物事を論理的に考えることができるからです」
「被告人はそれがとても苦手です。軽度知的障害という特性を持っているからです」
「その結果、今回の闇バイトの報酬を受け取ることさえできず、捨て駒にされてしまいました」

私はその言葉を聞いて、不快感を覚えました。
刑を軽くするために酌量を求めることが弁護士の責務であることは承知していますが、
多くの人の前で被告人の知的障害や無能力を繰り返し強調することが、
彼の今後の人生に傷として残らないだろうか。
その思いは、その後の裁判中も私の心にわだかまりとして残り続けました。

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