メモ/はるな
セリングルームで、自分の気持ちを正しく言おうとするときには。絶対に触れない、と思う。絶対にだれにもわたしは触られない、と強く思う。むきだしになる。弱い気持ちのまま強くいようとする。ねじれた構造で保たれた歪な建物が、そのまま上から強い力で潰されたような気持。つまり、ぐちゃぐちゃ。
そうして、何度めかの決意のあと、わたしは建物を出ようとする。でもあまりにも歪で、ないのだ。扉も柱も窓も床も天井もない。ないものから出ようとして、遠くなる気持は、音楽たちのなかに閉じ込められる。寒天みたいに。
(これは終わらない輪なのだ、と思うことによって、)
シチューみたいに心臓がことこと鳴るので、一晩中
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