ある寒い春の日/ホロウ・シカエルボク
 
示す時計には何かしらの意味があった、確か僕はその日誰かと約束をしていたのだ、僕は短いメールでその約束を断った、ごめんよ、体調が芳しくなくて、約束は持ち越しにしてくれないかな、返事は、わかった、お大事に、だった、そりゃそうだ、僕だってそう言う、さて、僕は紅茶の缶を手に取って食卓の椅子に座った、缶を目の前に置いて、黙って見つめた、今日だけはそういう、後悔の真似事みたいなことをしてみてもいいだろう、どうせ人生は自己満足の連続だ、大事なのはその制度を上げていけるのかどうか、口先だけでなんとかしようなんてしないこと、確かな意味をそこに見つけること、それから、どれだけ時間がかかってもある程度納得出来る結論を見
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