文学が救うべきものは、命ではなく物語である/鏡文志
 
かりに、自分の息子たちに当たり続けて家庭内不和が生まれたからだ。腐り切った縁は断ち切ったほうがいい。しかし、長男には家を出る勇気がなかった。何故か? 彼が本物の依存心が強い親依存者だったからだ。

彼は発狂して放火事件を起こし逮捕前でさえ、母親に対し
「ぶっ殺してやるぞ!」
と言葉を浴びせたが、実際に暴力行為を働くことはなかった。男の水筒に、男が無理矢理強引に飲まされている医薬品を大量に入れ、飲ませようとしたこともある。彼が発狂し、逮捕直前までこだわり本当に殺し、命を狙いたかったのは幼い頃からいつまで経っても同じ変わらぬまま、男だった、自分の弟だったのだ。

そして彼が自分の母親父親に
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