文学が救うべきものは、命ではなく物語である/鏡文志
 
っていて、日本人の身体に見えないところで影響し、蝕んでいると言われています。
しかしもし父親の主張が正しければ、周りの多くの人間も、目が赤らめていなければおかしい。この父親は他のあらゆることでも視野狭窄を起こしているのではないか?
家庭内の洗濯物は、放射能が着くから外に干すなという。洗濯から乾燥まで洗濯機でやるため、一日十時間程度、家族四人分の洗濯を洗い続ける。朝は六時から、十時程度まで。夜は五時から深夜近くまで。男が二階で寝ていると、一階ではずっとこの洗濯機の音が響いている。部屋は木で出来ているため、音は行き渡り易い。男が父親にある日苦情を言うと、父親はまるで、自分が気分良くやっていることに
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