あまりにも込み入ってだけど在りようとしては単純/ホロウ・シカエルボク
 
って旅をしたとは言えないだろう?俺の言ってることわかるかな、いろんなやり方に身を委ねるのさ、スタイルが出来上がるのはいつだって最後の方の工程のはずだぜ、わかるだろう、これはまだ出来上がっていない、途中経過に過ぎないんだ、スタイルなんて簡単に出来上がるものじゃない、いや、出来上がってしまったらお終いなのかもしれないな、俺の詩をずらっと並べてごらん、十年くらい前のものからさ―一見同じ羅列型の長ったらしい詩に見える、でも、その一行一行の密度や勢いは常に形を変え続けている、そう、確かに途中までは変える気なんてなかった、俺は自分のスタイルを手に入れたのだと思っていた、でもそれは間違いだったんだ、蜃気楼のよう
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