Hostage/ホロウ・シカエルボク
に刻みたかったのだ、俺が俺である為に必要な通過儀礼だった、そしてそれは、俺が自己を得てから死ぬまで、延々繰り返されるものなのだ、俺が途中でそれを叩き折ったりしない限りは、ね…そうさ、血液が焦げたような臭いだ、いつだってその臭いの正体が知りたかった、太陽の光の眩しさや、月の光の穏やかさについて語るよりも、いつだってそれについて語りたかった、だからこんなものに手を染めたのだ、それが俺をどこに連れて行くかなんてことはどうでもよかった、簡単に言えば、俺はどんな前置きも無くそこに飛び込んで塗れたかったのだ、途轍もなく不吉な騒めきの中に―生温く薄暗い、腐肉の上を歩くみたいなトンネルの中を、吐瀉物を書き殴りなが
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