Hostage/ホロウ・シカエルボク
ながら一歩一歩を地面に刻むように歩き続けた、そうしないと自分の名前すら忘れてしまうのではないかという気がしていたのだ、だがしかし、歩みを進めるに従って自我は果てしない成長を続けた、見るべきものを見、口に放り込み咀嚼して飲み込んだ、それは肉となり、そして血となって全身を駆け巡った、肉体に刻み込まれたものだけが俺の言葉と成り得る、俺はそれを快楽と認識し、あらゆるものを食らいながら陰鬱な景色の中を歩き続けた、他のどこに行く気も無かった、自分で選択したのだから歩き続けるべきだということはわかっていた、初めは痛みがあるばかりだった、そう、酷い火傷みたいな…しかしそれはいつしか緩み、俺の身体の中心で太い幹の様
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