葬列/下位次元展開/あまね
 
無限遠に目を細めれば
縮尺の都合上
ちいさな羽虫の亡骸も
ぼくのこの身体も
だいたい同じくらいの大きさです

土に還るための段階は
どうにも煩わしいから
いくつか端折ってみる
飛ばない虫を真似てみる

だんだん水分が抜けていって
何も感じなくなるんだろう

目を閉じると浮かんでくる
全てのものがほんとうだったらいいのに
自分を嘘つきと呼ぶのはちょっとした快楽だ

涼しげな風
弱まった太陽
死んでいく
みんな死んでいく
声を出さずに
おとなしく列にならぶ

葬列にところどころあいた余白

白夜の海をさびしく進む船みたいだ
一つところの記憶には残
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