わたしはもりをでて、またもりにかえる。/あらい
 
真実と虚構の区別は薄れていく。その瞬間、周囲の世界が音楽を奏で始める。遠くのようで、近くにあって、その鏡の果てに目を凝らすと、雨露が静かに偲び寄り、ひかりとかげと交尾していた
 夢が生まれる瞬間だ
 変化は続き、感情は雲の呼吸のように広がり、破裂して、そして消える。すべてが循環し、終わりと始まりがリングとなっている

 この始末では湿り気をおした唇が骨の髄まで汗ばんだ灰色に花束を生かしただけの顔。時々くすねてみては、無造作にこだまスピーカーから軋むような身体がわらう呼鈴の、そのものが喉を鳴らして
 紙切れの1枚がシールのように剥がされる。4つ折りにされた棒が微動だにせず眠っている。脱ぎ捨
[次のページ]
戻る   Point(2)