百行詩/田中宏輔
 
正常に異常だった

七十二行目は異常に正常だった

七十三行目は正常よりの異常だった

七十四行目は正常でも異常でもなかった

七十五行目は異常に正常に異常だった



七十六行目は七十八行目を思い出せないと言っていた

七十七行目は七十七行目のことしか知らなかった

七十八行目はときどき七十六行目のことを思い出していた

七十九行目は八十行目のクローンである

八十行目は七十九行目のクローンである



八十一行目は八十二行目から生まれた

八十二行目が存在する確率は八十三行目が存在する確率に等しい

八十三行目が八十二行目とともに八十四行
[次のページ]
戻る   Point(11)