ウォーキング/栗栖真理亜
 
大人しく付き従っていた
桜の木が何本も聳え立つ草むらで外国人の男性が訝しげに
私の顔をジロリと睨みつけてきたが私は構わず脇を通り過ぎ
とうとう橋の下を二箇所潜り抜け北大路橋の袂までやってきた

もうかなり日も落ちてきていたが
橋へと繋ぐ階段を登りそのまま橋を渡る
明るく賑やかな光に彩られた北大路通りへとは向かわずに
自宅の方角へと向かうため黒く繁った土手に降りると
暗くなりはじめの景色は行きの頃とは一変し
流石に不気味さを醸し出していた

歩いていてもゴミを一纏めに入れたビニール袋が
闇に蹲る白い獣のようなものに見えたり
暗闇のベンチの上でお互いの体をノリのようにくっつ
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