WELCOME TO THE WASTELESS LAND。──詩法と実作/田中宏輔
行の詩句について、35ページにわたって考察したことが、そこではじめて汎神論というものについて触れたのであるが、また、詩集を上梓した後も、さらに、ボードレールからポオ、スピノザ、マルクス・アウレーリウス、プロティノス、プラトンにまで遡って読書したことが、筆者をして、「神とは、あらゆる人間の経験を通して存在するものである。」といった見解に至らしめたと思われるのである。「作品は作者を変える。/自分から作品を引き出す活動のひとつびとつに、作者は或る変質を受ける。」(ヴァレリー『文学』佐藤正彰訳)。作者にとって、この「変質」ほど、貴重な心的経験などなかろう。
神とは、あらゆる人間の経験を通して存在す
[次のページ]
戻る 編 削 Point(10)