WELCOME TO THE WASTELESS LAND。──詩法と実作/田中宏輔
在するものである。それゆえ、どのような人間の、どのような経験も欠けてはならないのである。ただ一人の人間の経験も欠けてはならないのである。どのような経験であっても、けっしておろそかにしてはならないのである。
ところで、先に、筆者は、詩の書き方には二通りある、と書いた。もう一つの方法とは、あらかじめ構成を決めないで、言葉が自動的に結びつくのを待つ、というものである。偶然を最大限に利用する方法であるが、筆者がよく行うのは、取っておいたメモが、一気に結びつくまで待つ、というものである。拙詩集の『みんな、きみのことが好きだった。』(開扇堂、二〇〇一年)に収められた多くの詩が、その方法で作成された。そ
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