夜に裂ける/ホロウ・シカエルボク
う顔をした、なに、と俺が聞くと、えっと、と額を指さしながら、血が…と遠慮がちに言った、指で触ってみると確かにぬるっとした感触があって、指先に結構な量の血が付いた、トイレに行って待っててください、と店員は言った、俺は言われた通りにした、しばらくして売りものらしいミニタオルと消毒液とガーゼと絆創膏を持ってやってきた、ビールケースを椅子代わりに俺を座らせ、濡らしたタオルで傷口を拭いた、タオルはあっという間に血塗れになった、薄く切れてる感じなんで縫わなくても良さそうですね、と言いながらスプレータイプの消毒液を容赦なく吹き付ける、俺は呻く、手洗いにあるペーパーを取って傷口以外の水分を拭き取ると絆創膏を丁寧に
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