IN THE DEAD OF NIGHT。──闇の詩学/余白論─序章─/田中宏輔
 
句において、その句を作っていたときに、作者たちの心境がかなり危ういところにあったものと推測される。

蟻地獄松風を聞くばかりなり                                (高野素十)

団栗(どんぐり)の己が落葉に埋れけり                                 (渡辺水巴)

木を割(さ)くや木にはらわたといふはなき                             (日野草城)

機関銃天ニ群ガリ相対ス                                  (西東三鬼)

 正確にいえば、すべての句
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