IN THE DEAD OF NIGHT。──闇の詩学/余白論─序章─/田中宏輔
の句が擬人法に分類できるものではないのかもしれないが、自己の心情を事物に仮託して語らしめているところは、同様の手法である。
牛(うし)馬(うま)が若し笑ふものであつたなら生かしおくべきでないかもしれぬ (前川佐美雄)
さんぼんの足があつたらどんなふうに歩くものかといつも思ふなり (前川佐美雄)
考えがまたもたもたとして来しを椅子の上から犬が見ている (高安国世)
これらの三首には、教えられるところが多かった。短歌では、思考方法をより応用発展させられるようなものが、わたしの好み
[次のページ]
戻る 編 削 Point(11)