IN THE DEAD OF NIGHT。──闇の詩学/余白論─序章─/田中宏輔
 
もに三人で酒を酌み交わしながら明け方までしゃべりつづけていたことがあったのだが、そのとき、天狗俳諧もどきのことをしたのである。ちょっとした遊びのつもりで、順々に三人で、上句に中句、中句に下句をつけて、俳句を詠んだのだが、あまり面白いものとはならなかったので、筆者の提案で、出された句を、各自で自由に選んで組み合わせることにしたのである。三人が競作をして、それぞれ見せ合ったのであるが、このときほど笑ったことはなかった。まさに、「めちゃくちゃな」といった言葉で形容されるようなものが、つぎつぎと披露されていったのである。それらは、どれもみな、三人の個性が非常によく現われたものとなっていた。筆者がつくったも
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