IN THE DEAD OF NIGHT。──闇の詩学/余白論─序章─/田中宏輔
 
たもののうち、いくつかのものを、つぎに紹介する作品のなかに入れておいた。初出は、ユリイカの一九九八年十二月号である。


木にのぼるわたし/街路樹の。


ぼく、うしどし。
おれは、いのししで
おれの方が?し?が多いよ。
あらら、ほんとね。
ほかの?えと?では、どうかしら?
たしか、国語辞典の後ろにのってたよね。
調べてみましょ。
ううんと、
ほかの?えと?には、?し?がないわ。
志賀直哉?
偶然かな。
生まれたときのことだけど
はじめて吸い込んだ空気って
一生の間、肺の中にあるんですって。
ごくわずかの量らしいけどね。
もしも、道端に
お父さんやお母さ
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