IN THE DEAD OF NIGHT。──闇の詩学/余白論─序章─/田中宏輔
という病気を病んでしまっているこういった青年たちは、一瞬たりとも自分自身へ向けた関心をよそへそらすことができない」(モーリヤック『夜の終り』?、牛場暁夫訳)。「なにを見てもいつも自分自身へ戻ってしまうのだ。」(ノヴァーリス『サイスの弟子たち』一、今泉文子訳)。
俳句や短歌を系統別に分類したところで引用するつもりであったのだが、西東三鬼の「鶯にくつくつ笑ふ泉あり」という句に出会ったとき、これは単なる「感傷的誤謬(ごびゆう)(自然物に人間の主観や感情を投射すること)」(ロバート・シルヴァーバーグ『時間線を遡って』40、中村保男訳)などといったものではなく、三鬼にあっては、すべてのものが、
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