IN THE DEAD OF NIGHT。──闇の詩学/余白論─序章─/田中宏輔
うイメージは新鮮であった。また、この海が近づいてくるというイメージは、冬日和の静かな街角の風景そのものが、しだいに海のなかに滑り落ちていくという映像をも思い浮かばせてくれた。この二つの映像は、作品を読むときばかりではなく、作品をつくるときのイメージ操作の訓練にも役に立つと思った。逆の視点から見ること。相反する向きから眺めること。それを空間的なものに限る必要はない。時間的なものにも応用できる。
以上、引用してきた俳句や短歌には、すべて、「ポウが詩のもっとも大切な要素としてかんがえたあの不意打ち」(エリオット『アンドルー・マーヴェル』永川玲二訳)があり、それは、「予期に反して」(アリストテレー
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