IN THE DEAD OF NIGHT。──闇の詩学/余白論─序章─/田中宏輔
 
。」とある。休日には、よく賀茂川の河川敷にあるベンチの上に坐って、鳥たちが空を飛んでいる姿を目で追っていたり、川のなかで餌をあさっている様子を見つめていたりして、ぼうっとしていることが多いのだが、サバトの『英雄たちと墓』の第?部・37に、「魂は鳥のように遠くの地に飛ぶことができるとは考えられないものだろうか?」(安藤哲行訳)とある。後で、原 民喜のところで述べることの先取りになると思われるが、「鳥が来ては、わたしの魂を、他のだれかの魂と取り換える。」という言い回しを、「孤独な魂が、わたしの魂を、他のだれかの魂と取り換える。」とすると、ますます、わたし好みのものになる。

 笹原の歌からは、「巧
[次のページ]
戻る   Point(11)