IN THE DEAD OF NIGHT。──闇の詩学/余白論─序章─/田中宏輔
好みである。つぎの三首もまた、同様の傾向のものである。
憂鬱の鳥が頭上にあらはれてふたりの肌のにほひをかへる (林 和清)
言霊の子は森といふ文字バラバラにひきはなしたりもどしたり (笹原玉子)
冬日和 病院にゐて犬がゐて海もそこまで来てゐるらしい (魚村晋太郎)
林の歌からは、「鳥が来ては、わたしの魂を、他のだれかの魂と取り換える。」といった言い回しを思いついたのだが、イメージ・シンボル辞典を引くと、「飛び立とうとしている鳥、または翔んでいる鳥は魂の実体化したもの。」
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