IN THE DEAD OF NIGHT。──闇の詩学/余白論─序章─/田中宏輔
、第三号から参加して、短歌や詩を発表していた。つぎに紹介する作品は、その彼女が上梓した第一歌集の『南風紀行』から六首を選び、一行置きに、筆者の短い詩句を添え、一九九一年の冬に出した同誌の第四号に、詩として掲載したものである。
Opuscule
誰が定めたる森の入り口 夜明には天使の着地するところ
睡つてゐるのか。起きてゐるのか……。
教会の天井弓型にくりぬいてフラ・アンジェリコの天使が逃げる
頬にふれてみる。耳にもふれてみる。そつと。やはらかい……。
数式を誰より典雅に解く君が菫の花びらかぞへられない
胸の上におかれた、きみの腕。かるく、つねつて…
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