天国は展開の極意/菊西 夕座
の詩から泳ぎでるタッチ・ミー君の影はあかるく
鳴門海峡のように忙しく波だつ肩には笑いの襞がよせては返し
梅のほころぶ枝を咥えたムクドリが足しげく肩に降りてくると
愉快な波がおこるたびに白い花びらを左右にふりまいて啼いた
清冽な至純の陽がさしてくるのも決まって波うつ肩の先からで
胸にあまえる幼い道造くんの恋人は曙光にふれたいと袖をひき
水平にのばした腕にぴったりよりそいながら海峡の沖へ導かせ
五叉路がはばむ最果ての地平にその指をからめて愛を握らせた
陽がかたむくころにはタッチ・ミー君の影は逆側にのびて沈み
手渡されることのなかった愛情に五叉路が空っぽにひらかれて
花も鳥も
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