天国は展開の極意/菊西 夕座
 
鳥も色も 影のなかにしかつかめないことを知るころには
しずかな慟哭が談笑のかわりにうち寄せて詩人の肩を揺らした

ときに人生がひとを狂わせて不慮の惨劇で肉体をこまぎれにし
痛ましいだけの酷い残骸に結実させて永遠の絶海に漂わせても
人がひとのために開くてのひらこそが粉微塵をつつむ黄泉の道
天界は空になく、夢になく、重ね合う鼓動の誓いの余波にある

今しも開かれるてのひらから暁の光線が五つ又にわかれて注ぎ
咲くことも叶わずに倒れた枯木の先端に純白のわかれ歌をそえ
ムクドリに運ばせて震えやまない詩人の肩にそっと埋葬すると
垂直におちた腕をあたためながら愛する人の声が胸によせ帰る





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