渦を巻き、堤防を越えて、濁流となって/ホロウ・シカエルボク
 
よ、おお。いつの間にか夜だ、いつの間にか夜が、足元まで忍び寄ってきている、一日中点灯しているこの部屋ではそういったことをなかなか感じ辛い、だからいつだって記憶は抜け落ちている、自分が生きるのに必要なこと以外は廃棄されていくのだ、毎日会う人間の名前だって曖昧になる、俺がそれを必要としていなければ、起点は自分なんだ、いや、模倣や追随がいけないと言っているわけではない、形式なんてもともと意味の無いものだ、そこに自分を乗せる技量があるのなら模倣や追随にも意味はある、自分自身をそこに込めることが出来るなら、在りもののスタイルでもオリジナルだと呼ばれることになる、受け取る側だってそれぐらいのことは本能的に理解
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