渦を巻き、堤防を越えて、濁流となって/ホロウ・シカエルボク
濁音のような夕暮れを見ながら思考の中に潜り込んだ、目を覆いたくなるようなおぞましい景色に眉をしかめながら最奥を目指す、そこにはまだ辿り着いたことが無い、人間の集中などでは到底辿り着けないところなのかもしれない、すべての情報を遮断して、一年間瞑想し続けたとしてもおそらく無理だろう、でも時々、その末端に手が届くのではないかと思える瞬間がある、もう少し、もう少しだというところで一瞬のうちに現実に引き戻されてしまう、だからそれを求めるやつらは躍起になって間違いへと踏み込んでいく、食事を止めたり、寝るのを止めたり、苦行を強いたりしてもう一度その先を見ようとする、しかしだ、それでは無意味なのだ、人であるた
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