coincidentia oppositorum/ホロウ・シカエルボク
 
ことだ…俺も昔はそんな書き方をしていた、言葉とは感情でなければならないと考えていた、でもそうじゃなかった、本当はそうじゃなかったんだよ、それはまるで自分とは関係ない言葉でもよかった、その時その瞬間に浮かんできたものだけが真実なんだ、真実など定型ではないから、束の間のそれを引っ掴んで連れてくるのさ、わかるかい、真実とは空気さ、瞬間の空気の中で呼吸することさ、その中で蠢いている信号を次々に変換して、お前がいまこの時に生きている証拠をテーブルに並べるんだ、小細工は必要無い、小細工など何の役にも立たない、小細工が表現に成り得たことなど過去に無かったし、これから先も無い、いや、もしかしたらテレビジョンの中に
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