水星逆行/秋葉竹
うす汚く吐く息が染まっても
それさえ許せる
おおらかなじぶんでいられる気がする
そして夜は
夜風が
哀しいひとの叫び声に聴こえたら
星空をみあげて
けんめいに
たったひとつでいいから流星を探すだろう
今夜は双子座流星群がいくつもいくつも
流星を流してくれる夜だと云うが
私にはたったひとつでいい
その流星にたったひとつの希いを希う
哀しみの夜風を
どうかこれ以上泣かさないで
みえない地の底から聴こえ出す
凍えるほどの悲鳴が
私の微笑みをそのとき
冷たい作りものに変えるかもしれない
この世界に傷つけられたふりはもうやめて
降り積もる雪の去
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