罪と罰/大覚アキラ
 
空はどこまでも鈍い雲に覆われていて
海まで続く暗く長い道を
目隠しされた罪人どもが牽かれてゆく

贖うことなど決して叶わない
あまりにも重い罪を懐に抱いて

だが その足取りは重くはない
むしろ軽やかにさえ見える

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いつか観た そんな映画のワンシーンが
あなたと躯を結ぶたびに
瞼の裏にフラッシュバックする

映画館の暗闇の中で
あなたの隣に座ってスクリーンを凝視しながら
わたしの頭蓋の暗闇の中は
ベッドの上で悶えるあなたの姿で溢れていて
映画のストーリーなど これっぽっちも記憶にない

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あの日 安っぽいホテルの一室
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