THE GATES OF DELIRIUM。/田中宏輔
のできる一つの感情にすぎない。
(E・M・フォースター『モーリス』第四部・44、片岡しのぶ訳)
*
人が理解されようとねがうのは、愛されようとねがうからであり、人が愛されようとねがうのは、相手を愛しているからである。ほかの人たちの理解は問題外であり、そんな人たちの愛はうるさくさえある。
(プルースト『失われた時を求めて』第六篇・逃げさる女、井上究一郎訳)
愛が去ったとき、それはもはや愛として記憶されることはない。べつのなにかになってしまうのだ。
(E・M・フォースター『モーリス』第二部・24、片岡しのぶ訳)
記憶は、うすれるにしたがって、相手と
[次のページ]
戻る 編 削 Point(12)