THE GATES OF DELIRIUM。/田中宏輔
 
われわれの愛と呼ぶものを構成する思考の大部分は、恋人がそばにいない時間のあいだにわれわれにやって来るものだからである。
(プルースト『失われた時を求めて』第六篇・逃げ去る女、鈴木道彦訳)

肉体の愛は反応にほかならない。
(E・M・フォースター『モーリス』第四部・43、片岡しのぶ訳)
   
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愛情深い人間なんてほんとうにいるのでしょうか。
(モーリヤック『ホテルでのテレーズ』藤井史郎訳)

人間が真実の相において愛することができるのは、自分自身なのであり
(三島由紀夫『告白するなかれ』)

 愛とはそれを媒体としてごくたまに自分自身を享受することので
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