真夜中のゲーム/ホロウ・シカエルボク
 
鳴声の鳥だった。その鳥の名を何と言うのか俺は知らなかった、そんな声で鳴く鳥が本当に居るのかどうかも、ただ、俺がそのことをはっきりと知る必要があるのかどうかという点で考えるなら、答えはノーだった、どうせこの世は、俺にはわからないものだらけなのだ、それが世界というものなのだ、どんな狭い世界だって、すべてを知ることは出来ない、人間はフィジカルにおいてもメンタルにおいても、自分で考えてるほどたいしたもんじゃないのだ、不意に、歌声が聞こえた、女の声だった、さっき、コインランドリーで見た女が頭に浮かんだが、まだ洗濯が終わる時間ではないはずだ、それに、深夜のコインランドリーでジェイ・マキナニーを読んでいるような
[次のページ]
戻る   Point(2)