真夜中のゲーム/ホロウ・シカエルボク
い、なんにせよ、女に近付いて、こんな夜中に洗濯してるのかい、なんて、気障ったらしい口調で話しかけようなんて思わなかった、暗がりの中でそのランドリーだけがよく見えたから、少し気になったというだけのことだ、女がもしも顔を上げても、俺が道に立っていることさえわからないだろう、この道には外灯というものがほとんどないのだ、そんなわけでコインランドリーの物語はそこで終わり、もう少し歩くことにした、やっと迎えた休日の前夜、ただ眠るには惜しかった、だから、真夜中の通りでもぶらぶら歩いてみようというわけだ、ジャズ喫茶の前を通り、街のど真ん中にある山に沿って歩いた、水子地蔵がずらりと並ぶ前を歩くときには少し寒気がした
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