もうね、あなたね、現実の方が、あなたから逃げていくっていうのよ。/田中宏輔
「そだよ。
もう削る文学は、いいんじゃない?
削る文学は、古いんじゃない?」
「ぼくも、散文性が出したかったので。」
「でも、削った方がいいって言うひとの方が多いだろうけどね。」
「ぼくもそう思います。
でも、それだから
よけいに、目立つとも思うんですよ。」
「そだよ。
まず、目立たなきゃね。
俳句って
やってるひと多いから。」
「三年前の最終選考にまでいったもの
まだネットに残ってるんですよ。
消して欲しいんですけど。」
「そなんだ。」
「賞金30万円なので
今年も出そうかなって。」
「いいんじゃない。
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