もうね、あなたね、現実の方が、あなたから逃げていくっていうのよ。/田中宏輔
 
い。
 もらえるものはもらったら。」
「城戸朱理が審査員のひとりなんですよ。」
「なんで?
 あ
 パウンドの詩集
 城戸の訳のものだけは買わなかったわ。
 あと、全部、そろえたけど。」
「そんなに嫌いですか?」
「嫌い。」

ここで日知庵はチェック。
大黒に移動。
日知庵から大黒に行く途中
たくさんの居酒屋や食べ物屋の前を通りながら
高瀬川を渡って、木屋町通りを歩いた。
ふたつ目の路地の手前に交番があって
その真横にある公衆トイレの前で
「このあいだ、ミクシィでさ。
 廿楽順治さんが、パウンドの『キャントーズ』のパロディーで
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